Seedance 2.5 動画編集と延長:混同されがちな3つのモード
すでに生成した動画の中で、1つだけ変えたいものがありました。ジャケット1着。それだけです。
返ってきたのは、別の部屋、別のカメラの動き、そして最初とは違う顔の人物でした。
同じことをあと3回繰り返して、ようやく何が悪かったのかが分かりました。プロンプトが下手だったのではありません。参照のプロンプトを書いて、編集の結果を期待していたのです。この2つは別のモードで、Seedanceの扱い方はまったく違います。
ByteDanceの公式実践ガイドには、まさにこの混同についての節があります。参照・編集・延長の3つは実務で頻繁に混用され、その結果プロンプトがずれて素材の引用方法も不適切になり、生成結果の制御性と安定性を損なう——とはっきり書かれています。この節を読んでから、私の成功率はどんなプロンプト技術よりも上がりました。
以下がその全体像です。ほとんど表に出てこない部分——編集が黙って固定してしまう、変更できないパラメータ——も含めて。
編集を台無しにする、たった1つの間違い
どのモードにいるかは、簡単なテストで分かります。
すでに完成していて、残したい動画がありますか?
- ない — 画像・動画・音声をインスピレーションにしてゼロから生成する。これが参照生成。
- ある。中の何かを変えたい — これが動画編集。
- ある。前か後ろに足したい — これが動画延長。
書き出すと当たり前に見えます。深夜1時に9回目の試行をしているときは当たり前ではありません。私がやっていたのは、完成した動画をインスピレーション素材として渡し、そのうえでシーン全体をもう一度ゼロから描写することでした。モデルは言われたとおりにしました。私の動画に着想を得た新しい動画を作ったのです。部屋が変わって当然です。部屋を作り直せと頼んでいたのですから。
参照・編集・延長:3つのモード、3つの書き方

モードごとに固有の書き方があります。形が合えば、問題の大半は消えます。
| モード | 手元にあるもの | プロンプトの形 |
|---|---|---|
| 参照生成 | 完成した動画はない | 生成要件(テキスト)+ @動画1 @画像1 @音声1 を素材として |
| 動画編集 | 残したい完成動画がある | 変更要件(テキスト)+ @動画1(元動画)+ 任意の @画像 / @音声 |
| 動画延長 | 続きを足したい完成動画がある | 続きの要件(テキスト)+ @動画1(元動画)+ 任意の @画像 / @音声 |
編集と延長は紙の上では同じに見えます。違いは動詞です。編集は既存の尺の中を書き換え、延長は前後に尺を足します。
参照モードが実際にカバーする範囲
参照は「キャラクターの写真です」だけではありません。公式ガイドは8つのサブ機能に分けています。存在を知っているだけで、頼めることが変わります。
| サブ機能 | 何を借りるか |
|---|---|
| 主体参照 | 人物・商品・場所・キャラクターの見た目や声 |
| モーション参照 | 動作、表情、カメラワーク、エフェクト——動きそのもの |
| 白モデルレンダー | グレー3Dプレビズの動きと構造を、実材質でレンダリング |
| スタイル参照 | 画像や映像のスタイルだけ、内容は使わない |
| 音声参照 | 音楽、メロディ、セリフ、声質 |
| 絵コンテ参照 | マルチコマ絵コンテの順序と内容 |
| キーフレーム参照 | 1枚を最初のフレーム、2枚を最初と最後のフレームに |
| ワンクリック編集 | 複数素材を1本の短編に繋ぎ、文字やトランジションを付与 |
白モデルは本当に役立つのにほとんど語られないので、特に挙げておきます。ラフなグレーの3Dアニメーションと材質の参照画像を渡すと、自分のブロッキングに正確に従った完成レンダーが得られます。
@動画1のカメラの動き、尺、構図、サイズ、空間関係、物体の位置、モデルの構造、
運動軌跡を変えずに保持する。@画像1を材質・ライティング・色・全体の雰囲気の
参照とし、@動画1の白モデル材質を@画像1に近い実材質に置き換える。自然な陰影、
接地影、環境光、反射、ハイライト、空間の層を加え、全体としてシネマティックな
レンダー品質にする。モーション参照ももう1つの過小評価されている機能です。このプロンプトだけで、クライミングの演技をまったく別の体に移せます。
@動画1の動きを、崖を登るゴリラに移す。カメラのリズムと動作は変えない。編集前
編集後
編集の3ステップ
公式ガイドは編集の書き方を3ステップで示しています。暗記できる短さです。
@動画1で元動画を指す。- 何が変わり、何になるかを名指しする。 主体を置き換えるなら
@画像2で新しい見た目を渡す。追加・削除なら対象と位置を書く。 - 残りを固定する。 「その他は変更しない」と明示的に足す。
ステップ3が最も飛ばされ、そして私のジャケットを救ったステップです。これがないと、モデルは触れられていない領域を自由に扱ってよいと解釈します。
同じ編集を、悪い書き方と良い書き方で。
❌ 男のジャケットをレザーにして、全体的にいい感じにして。
✅ @動画1の中の濃い色の服を着た男性の服装を、@画像2の服装に置き換える。
その他の画面はすべて変更しない。2つ目は対象を正確に指し(「男性」ではなく「濃い色の服を着た男性」)、新しい見た目を参照として渡し、残りを固定しています。3文で3つの仕事です。
そのまま使える5つの編集コマンド
すべてByteDance公式ガイドからのアレンジです。どれも短いことに注目してください。編集プロンプトは短いのが正解です。長く詳細なプロンプトは参照モードのものです。
被写体を削除する
動画編集:@動画1から主役以外の人物をすべて削除する。ショットの掃除にも。
@動画1からドローンと手前のレールを削除する。削除した領域は自然に補完する。
その他は変更しない。マイクの映り込み、スタッフの反射、リグ、権利のないウォーターマークを直す最速の方法です。
被写体を追加する
@動画1の人物、環境、構図を変更しない。人物の手にエネルギーの弓が現れる。場所を変え、演技を残す
@動画1の場所を中世の石城のテラスに置き換える——城壁、風、霧、遠景の稜線、
平らな石の地面@画像1。濃い色の服の男性の服装を@画像2に、薄い色の服の男性を
@画像3に置き換える。振り付けはそのまま、元のリズムを変えない。全編のライティングを組み直す
@動画1のライティングを、真昼の強いトップライトから夕暮れの低いサイドライトに
変更する。現在の状態と目標の状態を名指しします。「ライティングをもっと良く」では何も得られません。モデルには何が気に入らないのか分からないからです。
ブロッキングを変えずにスタイルを変える
@動画1のカメラの動きとリズムを保持する。ビジュアルスタイルを、白黒コミック、
日本のアニメ、アメコミのハードコア、水墨アニメーションの順に変更する。音だけ差し替える
@動画1の画面とカメラの動きを変更しない。BGMを@音声1に置き換える。タイムライン上の一部だけを編集する
クリップ全体を編集する必要はありません。Seedance 2.5は編集指示の中でタイムスタンプを受け付けます。
@動画1の0:02から0:05までの場所を中世の石城のテラスに置き換える。
人物の動きとリズムは変更しない。これが「狙った修正」と「全部やり直し」の違いです。30秒のうち1つの区間だけが違うなら、その区間だけ直せばいい。
延長:後ろへ、前へ、あいだへ

延長は元動画の映像・テンポ・スタイルを保ったまま、その周囲に新しい映像を書き足します。方向は3つ。
後ろへ延長 — 最後のフレームから続ける。
@動画1の最後のフレームを起点に6秒続きを書く:主役が画面外へ歩き去り、空が
暗くなり、街灯が次々に灯る。映像と音声はシームレスに繋ぐ。前へ延長 — 前段を作る。
@動画1の最初のフレームを終点として、前に4秒補う:主役が遠くからフレームインする
までの場面。最初のフレームのビジュアルスタイルに合わせる。2本の橋渡し — 欠けているトランジションを生成する。
@動画1と@動画2のあいだに3秒のトランジションを生成し、映像・色調・カメラの
動きをシームレスに繋ぐ。そして延長は連鎖できます。 公式ガイドには3連鎖の例があります。蜂が花に止まり、花が実になり、種が土に落ちる。各ステップが前の出力を延長しています。
ステップ1 — @動画1を5秒延長:蜂が飛んできて花に止まる。マクロのクローズアップで
脚と腹に付いた花粉を捉える。飛び立ち、カメラが同じ種類の別の花まで追う。
ステップ2 — @動画2を5秒延長、タイムラプス調:黄色い花びらが萎れ、中心が
膨らみ、緑の莢が育ち、色づき、ふくらむ。
ステップ3 — @動画3を5秒延長、タイムラプス:昼と夜が入れ替わり、熟した莢が
自然に割れ、種が滑り落ちる。カメラが空中を追い、湿った土@画像1に着地する。3つのプロンプトで、1本の連続した映像。編集ソフトは使いません。
編集が固定してしまい、変更できないもの

この部分は公式ガイドの「重点注意」に書かれているもので、「ツールが設定を無視する」という一群の不満をまるごと説明します。
編集・延長・最初/最後フレーム生成を使うとき、モデルは入力素材に基づいて一部の生成パラメータを自動的に固定します。ユーザーが指定することはできません。
編集:
- 出力のアスペクト比は元動画に厳密に固定されます。編集で画面が伸びたり切れたりしません。
- 出力の尺はほぼ元動画どおりです。モデルの入力処理の都合でわずかな差は出ますが、本体の内容は保たれます。
延長:
- 出力のアスペクト比は元動画に厳密に固定され、新しい映像が同じ画面サイズで繋がります。
- 新しい区間の尺は自分で決められます。 プロンプトで明示してください(「6秒延長する」)。
最初のフレーム/最初と最後のフレームからの生成:
- 出力のアスペクト比は最初のフレーム画像に従います。
- 最後のフレームのアスペクト比が最初と違うと、最後のフレームが引き伸ばされて合わせられます。 動画の終わりで起きるあの妙な歪みの正体です。最初と最後は同じ画面サイズの画像を使ってください。
- 尺は自分で決められます。
最後の項目はモニターに貼っておく価値があります。最初と最後のフレームのサイズ違いによる歪みは、無言で、自分で招いたもので、UIは何の警告も出しません。
よくある質問
Seedance 2.5は動画から物体を消せますか?
消せます。クリップを@動画1として渡し、対象を名指しし、空いた領域を自然に補完するよう頼みます。「その他は変更しない」を足して、モデルが迷走しないようにしてください。
動画の一部だけ編集できますか? できます。指示の中にタイムスタンプの範囲——たとえば「0:02から0:05まで」——を入れると、残りのタイムラインには手が入りません。
編集でアスペクト比や尺は変わりますか? 変わりません。編集は出力のアスペクト比を元動画に固定し、尺も実質的に同じに保ちます。これは自動で、調整できません。
延長できる長さは? 自分で決められますし、プロンプトで明示すべきです。編集と違い、延長の尺はコントロールできるパラメータです。
映像に触れずに音楽だけ差し替えられますか?
できます。音声編集は独立したサブ機能です——@音声1を渡し、映像とカメラの動きを固定します。
参照と編集の違いは? 参照は素材から着想を得た新しい動画を生成します。編集はすでにある動画の中を書き換え、触れていない部分をすべて保ちます。ここを間違えることが、使えない結果になる最大の原因です。
まとめ
私が失敗させたSeedanceの編集は、ほぼすべてプロンプトのミスではなくモードのミスでした。
まずモードを選ぶ。 完成動画がなければ参照。あって変えるなら編集。あって伸ばすなら延長。
編集プロンプトは短く、固定する。 元動画を指し、変える1点を名指しし、その他は変更しないと書く。3文で3段落に勝ちます。
何が固定されるかを覚えておく。 編集はアスペクト比と尺を元動画に固定します。最初/最後フレーム生成はサイズ違いの最後のフレームを引き伸ばします。どちらも警告は出ません。
Seedance 2.5の公開は2026年8月7日ですが、この3モードの規律はSeedance 2.0で今日から通用します。TryonrでSeedance 2.0を使って生成・編集すれば、ウォーターマークなしで試せます。
次は、プロンプトのフォーミュラそのものをSeedance 2.5プロンプトガイドで。2.0から何が変わったのかはSeedance 2.5と2.0の違いで。モデルの全体像はSeedance 2.5モデルページにあります。
本記事のプロンプトはByteDance公式Seedance 2.5実践ガイドをもとにアレンジしたものです。



